昔見し象の小川を今見ればいよよさやけくなりにけるかも
家無:それにしても、なんでこんな歌、詠んだのじゃ?
旅人:こんな歌?
家無:あ、いや、このような象の歌・・
旅人:これは、恐れ多くも、聖武天皇が吉野に行幸なされた時・・
家無:聖武天皇・・?
旅人:そうじゃ!
家無:で? だから、どうしたンじゃ?
旅人:だから、どうした?
家無:あ、いや、・・・で?
旅人:ワシは、この歌を詠んだ後に、大宰府の長官として赴任するために、
奈良の都を去ったのじゃ。
家無:なんか、悪いコト、したのか?
旅人:なんで、悪いコト・・?
家無:奈良から九州・・左遷じゃろ?賄賂か、横領か? あ、宮廷内不倫とか?
旅人:ば、バカもん!レッキとした、任務じゃ!
家無:よくぞ、そんな防人しかいないような場所に行ったもんじゃな。
旅人:ワシは、行幸の時のことを懐かしんで、詠んだのじゃ。
家無:そんなに天皇をヨイショしても、左遷か・・
旅人:左遷じゃないと言っただろうが!さらに、ワシは、もう一首、詠んだ。
家無:何を?
旅人:我が命も常にあらぬか昔見し象の小川を行きて見むため・・
家無:・・・
旅人:どうじゃ? 和歌るか、家無!
家無:なんとなく・・和歌るような・・
旅人:私の命も、いつまでもあってはくれないか。
昔に見た象の小川を見に行くために。・・とな。(シミジミ)
家無:・・・ふ~ん。
旅人:何が、ふ~んじゃ?
家無:やっぱり、左遷じゃな。太宰府にいてなお、象に焦がれておる。
旅人:さ、左遷じゃないって言っただろうが!くどい!!
家無:ムキになるところが、やっぱりアヤシい・・左遷じゃろ?収賄か?
旅人:ぶ、無礼な!ワシは、もう帰る!!
つづく