<赤染衛門の詠める歌>
やすらはで
寝なましものを
小夜更けて
かたぶくまでの
月を見しかな
そうか。そうだよな。うん・・気持ちが和歌る。
と、一人で納得しておってもしょうがないか・・。これは、すぐ和歌ったぞ!
おそらく、この赤染衛門というオノコは、もはや初老なのじゃ。
(苗字は赤か?名前が染衛門・・それとも赤染で、名は衛門?ま、いいか)
そろそろ寝ようと、やすらかに床に就いたものの、
目が覚めちゃうのだよ、小便で・・
せっかく寝る前に厠に行ったにも拘らず、夜中に目が覚めてしまう。
・・ったく!若い時は朝までグッスリだったし、
おまけに、朝はスックと元気に屹立しておった我が息子も、
今はもう、ただの排泄器官になり果てにけり・・だもの。
小便の奴が、目を覚まさせる。それも一度ではない。
ああ、老いたくないものじゃのお・・。と、小便しながら
厠から見上げる月も、もうだいぶ傾いて、朝も近い。
「小便が 近くなりにて 老いを知る」
と一句詠んだのは、芭蕉だったか?それとも蕪村であったか?
平成の今は、ハルンケアとか、いい薬も出ておるが、
千年の昔じゃ、夜中何度も目が覚めるあなたに「万葉尿止薬」
などというものもなかったに違いない(あたり前だ)。
昔の老人は、いったい、どうしておったのじゃろうなあ?
寒い冬など、床から出るのも辛かっただろうに。
めんどくさいから、そのまま出しちゃえ・・ともいかないだろうし、
紙おむつもなかっただろうし、なあ。
つづく